【Windows 10サポート終了に備え帰省時にやっておきたいこと】実家のPCをWindows 11へアップグレードするなら、Windows 10のサポートが終了する2025年10月より前、夏休み中に済ませておくのがおすすめです。本連載では、『できるWindows 10 → 11 かんたん移行ガイド』(2025年8月発売予定)の著者・清水理史さんが、Windows 10から11への移行時に知っておくとよい情報を解説します。(全3回)
移行後の操作が分からなくなる不安を解消してあげよう
「Windows 10をそのまま使いたい......」。家族や友人がそう訴える理由は、使い方や操作が変わることに不安があるからでしょう。ただ、どこが違うのかを理解しておけば、それほど操作に迷うことはありません。Windows 11へのアップグレード後、新しいWindows 11の操作に慣れるために家族や友人に何を伝えればいいか? Windows 11操作のポイントを押さえておきましょう。
Windows 10風にするのではなくWindows 11に慣れることが大切
Windows 11の操作に違和感があるのは最初だけです。しばらく使っていれば、すぐに慣れ、今までと同じように使えるようになります。
このため、Windows 11の操作体系を、Windows 10のように変更することは必ずしも得策とは言えません。今後、パソコンを買い替えたり、職場などでWindows 11を使ったりする場合を考えても、Windows 11の操作に慣れておくメリットの方が大きいでしょう。
帰省時に家族や友人のWindows 11への移行を手伝うのであれば、Windows 10とWindows 11のどこが違うのかを伝えることが重要になります。
こちらがWindows 10の画面です。
こちらがWindows 11の画面です。
スタートボタンの位置
Windows 10とWindows 11の最大の違いを説明するときは、まずスタートボタンの位置の違いを説明するといいでしょう。Windows 10は左側のスタートボタンから起動し、Windows 11は中央のスタートボタンから起動します。
Windows 10のスタートボタンは左側にあります。
Windows 11のスタートボタンは中央にあります。
前述したように慣れの問題なので、標準の設定のまま使うことをおすすめしますが、「どうしても左側がいい」と言われたら、以下のように操作することで、スタートボタンを左寄せで表示できます。
[設定]アプリの①[個人用設定]から[タスクバー]をクリックして開きます。次に、②[タスクバーの動作]をクリックしてメニューを開き、③[タスクバーの配置]をクリックして[左寄せ]を選択します。
スタートメニューの表示
スタートメニューに表示される内容もWindows 10とWindows 11で違いがあります。
Windows 10は左側にアプリの一覧で右側にタイルという構成でしたが、Windows 11はスタートメニューにはよく使うアプリだけがピン留めされており、表示されていないアプリは[すべて]から起動します。「インストールしたのにアプリが見当たらない」というトラブルを避けるためにも、[すべてのアプリ]画面の存在をしっかりと伝えておきましょう。
Windows 10のスタートメニューは、左側にアプリの一覧が、右側にタイルが表示されています。
Windows 11のスタートメニューは、よく使うアプリのみがピン留めされています。[すべて]をクリックします。
インストール済みのアプリがすべて表示されました。この[すべて]の存在を伝えておくことが重要です。
また、検索によってアプリを簡単に見つけることもできるので、どうしても見つからない場合に備えて、検索でアプリを探す方法も伝えておくといいでしょう。
スタートメニューの上部やタスクバーにある検索ボックスからも、アプリを探せます。
さらに、ピン留めの方法も重要です。[すべてのアプリ]から、よく使うアプリをスタートやタスクバーにピン留めする方法を伝えておくことで、アプリを起動するときのストレスを軽減できるでしょう。
アプリを右クリックすると表示されるメニューから、[スタートにピン留めする]をクリックすると、スタート画面にピン留めできます。
アプリを起動後、タスクバーのアイコンを右クリックして[タスクバーにピン留めする]をクリックすれば、タスクバーへのピン留めも可能です。
エクスプローラーの違い
ファイルを操作するためのエクスプローラーも、Windows 10とWindows 11でデザインが大きく変更されています。
従来のWindows 10は上部にメニューがありましたが、Windows 11では上部にファイルパスが表示され、その下にメニューが配置されます。ここが逆になっていることに戸惑う人が多いので、しっかりと伝えておきましょう。
Windows 10のエクスプローラーのメニューは、上部に表示されています。
Windows 11のエクスプローラーは、ファイルパスの下側に表示されています。
また、タブの存在も重要です。Windows 11ではタブを利用してエクスプローラーのウィンドウを切り替えることができます。Windows 10にはなかった機能なので使い方を説明しておきましょう。
Windows 11ではタブが使えます。
さらに、右クリックの操作も説明しておきましょう。ファイルのコピーや貼り付けがアイコン形式で表示されること、隠されたメニューにアクセスするには[その他のオプションを確認]から操作する点を説明する必要があります。
右クリックしたとき、一部の操作はアイコン形式で表示されます。違いがあることも説明しましょう。
[設定]アプリの違い
このほか、[設定]アプリの違いも確認しておくといいでしょう。起動したときの画面も違ううえ、設定項目の場所も違います。こちらも、困ったら検索で項目を探せることを伝えておくのがおすすめです。
また、Windows 10は、一部の設定がコントロールパネルに分散していましたが、Windows 11では、ほぼ[設定]アプリから設定できるようになっています。例えば、ノートパソコンのカバーを閉じたときの動作は、Windows 10ではコントロールパネルから設定する必要がありましたが、Windows 11では[設定]から設定できます。
Windows 11では、コントロールパネルはほとんど使わなくて済むことを伝えておくといいでしょう。
Windows 10の設定では、一部でコントロールパネルを併用する必要があります。
Windows 11では、設定アプリでほとんど完結します。
データの移行を忘れずに
パソコンを買い替えた場合は、設定やデータも「前と同じように使える」状態にしておくことが重要です。
設定に関しては、Windows 10とWindows 11で同じMicrosoftアカウントでサインインすることで自動的に同期されます。アプリの設定は同期できませんが、WindowsやEdgeの設定、お気に入りなどはこの方法で同期するのが簡単です。
一方で、データの移行は、いくつかの方法があります。
クラウドサービスを使ったデータ移行
簡単なのはOneDriveを利用する方法です。上記の設定と同様に、新旧どちらのパソコンでも同じMicrosoftアカウントでサインインすることで、自動的にドキュメントやピクチャなどのデータを同期できます。
ただし、OneDriveの無料プランは5GBしか容量がないため、Microsoft 365 BasicやPersonalなどの有料プランを利用する必要があります。有料プランを利用したくない場合は、手動での移行を検討しましょう。
OneDriveでWindows 10からWindows 11にデータを移行できますが、無料プランでは容量が足りません。
外付けストレージを使った手動でのデータ移行
OneDriveを利用しない場合は、USB SSDなどの外付けストレージを使ってデータを移行するといいでしょう。
最初に古いWindows 10パソコンにUSB SSDをつないでデータをコピーし、次に新しいWindows 11パソコンにUSB SSDをつないで、コピーしたデータを戻すという作業になります。大切なデータの移行を忘れないように、しっかり計画してから実行することが大切です。
なお、作業内容の詳細は、2025年8月発売の新刊『できるWindows 10 → 11 かんたん移行ガイド』で紹介しています。書籍の詳細は、本記事の最後で確認してください。
引っ越しツールを使った移行
市販の引っ越しツールを使ってデータを移行することもできます。手動よりも楽に移行できますが、ツールを購入する必要があるのが欠点です。新しいWindows 11パソコンにツールがプリインストールされている場合もありますので、調べてみるといいでしょう。
Windows 11を楽しんでもらおう
以上、帰省したときなどに、家族や友人のWindows 10からWindows 11への移行を手伝う際のポイントを紹介しました。
そもそもアップグレードできるのかを確認したり、移行に後ろ向きな相手を説得したり、移行後の環境を準備したりと、いろいろな作業があって楽ではないことは確かです。本稿で紹介したポイントを押さえて、事前にしっかりと準備したうえで、帰省先での作業に臨むといいでしょう。
Windows 10→Windows 11への移行はこれで完璧!
できるWindows 10 → 11 かんたん移行ガイド (できるシリーズ)
- 著者:清水理史&できるシリーズ編集部
- 定価:1,320円(本体 1,200円+税10%)
- ページ数:128ページ
- ISBN:978-4-295-02194-0
- 発売予定日:2025年8月26日
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Source: できるネット
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