

ヤマハは MotoGP世界選手権 2026年シーズンより「YZR-M1」に V型4気筒エンジンを搭載する旨発表した。加速性能や空力への適応力向上を狙い、長年使用してきた直列4気筒エンジンは2025年最終戦をもってその役目を終える。同社テクニカル・ディレクターのマッシモ・バルトリーニは「V4 は未だ開発の初期段階」としつつも、2026年シーズンに向けフルポテンシャル発揮を目指すと語った。2025年11月18日(火)のバレンシアテストから、ヤマハ MotoGP ライダー全員が V4エンジン搭載のマシンで走行することとなる。
MotoGP 世界選手権 2026 年シーズンから「YZR-M1」にV4 エンジンの採用を決定
ヤマハ発動機株式会社は、2026 年シーズンから当社のMotoGP マシン「YZR-M1」にV 型4 気筒エンジンを搭載することを決定しました。この決定は以前から表明していた方針に沿うものであり、当社のエンジン開発戦略における継続性と透明性を裏付けることとなります。

直列4 気筒エンジンは、当社のレーシングアイデンティであり、象徴的な存在として数十年にわたり採用してきました。俊敏性とスムーズなパワーデリバリーにより、バレンティーノ・ロッシ選手やホルヘ・ロレンソ選手、ファビオ・クアルタラロ選手などの伝説的ライダーたちに力を与え、数々の成功をもたらしました。グランプリ出場回数は429 回を数え、優勝回数125 回を含め表彰台獲得数は352 回を誇ります。そしてライダータイトル8 回、チームタイトル7 回、コンストラクターズタイトル5 回、MotoGP 三冠を5 回、達成しました。
しかしながらMotoGP の進化に合わせ当社は、自らのDNA を守りながら新たな技術的要求に適応することに挑戦しています。この度のV4 エンジンへの移行は、パフォーマンスとイノベーションの追求において非常に大きな節目となります。新たなエンジンレイアウトにより、加速性能やブレーキング時のハンドリング、最新のタイヤと空力条件への適応性などの向上が期待されます。2025 年シーズンを通して進めてきた迅速な開発プロセスは、MotoGP テクノロジーの伝統に敬意を払いながらその最先端に立つという当社の決意の表れです。
2025 年シーズンの最終戦バレンシアGP をもって、当社の直列4 気筒エンジンはその長い歴史に幕を下ろしました。新たな時代へと踏み出すにあたり、11 月18 日(火)のバレンシアテストではヤマハMotoGP ライダー全員がV4 エンジン搭載のマシンを走らせます。エキサイティングな新たな章の幕開けです。

鷲見崇宏(ヤマハ発動機MS 統括部MS 開発部長)
「直列4 気筒エンジンは数十年にわたり、ヤマハのモノづくりの哲学の中心にありました。いくつもの記憶に残る勝利をもたらし、精密さとコントロール性において高く評価されてきました。このエンジンが成し遂げてきたこと、そしてこのエンジンで歴史を築いてきてくれた歴代のライダーたちを誇りに思います。その全員がともに手を携え、私たちのレースの伝統を作り上げてきたのです。
しかしながらMotoGP は絶えず進化しており、私たちも進化していかなければなりません。V4 エンジンはヤマハの新たな章のはじまりを象徴するもので、私たちが頂点に立つために必要なチャレンジ精神とレーシングDNA、技術的ソリューションを融合したものです。目標はいつも同じです。ライダーに最高のマシンを提供し、世界中のファンに“感動”をお届けすることです」
マッシモ・バルトリーニ(Yamaha Factory Racing MotoGP テクニカル・ディレクター)
「V4 エンジンの採用は簡単に決定されたものではありません。ご想像の通り、開発プロセスは広範囲におよびました。加速性能からコーナリングの挙動まで、パフォーマンスのあらゆる要素を分析し、このエンジン形状こそが我々の期待に応え、アドバンテージを生み出すものだと結論づけました。2025 年シーズンに行ったワイルドカード参戦を通じて確信を得ることができたのです。
V4 は未だ開発の初期段階であり、これからも進化を続け、再びトップレベルで戦うために必要な力を与えてくれるでしょう。直列4 気筒からV 型4 気筒への転換はヤマハにとって大きな前進であり、2026年シーズンに向け、磨き続けた真のフルポテンシャルを発揮することを目指します。この度のV4 投入は戦略的にも重要で、2027 年のレギュレーション変更においては、このエンジンレイアウトがマシンレイアウトやエアロダイナミクスの開発面で優位性をもたらすことでしょう」
リリース
ヤマハ発動機株式会社(2025年11月17日発行)
Source: バイクブロス
【ヤマハ】MotoGP 2026年シーズンより「YZR-M1」に V型4気筒エンジンを採用、直列4気筒の歴史に幕