
光にかざして4連キャブのベンチュリ内部(通気部)を覗き込んでみよう。蛍光灯の明かりに透かしてスロットルバルブの開閉を見ることで、それぞれのキャブの開閉タイミングがズレていないかどうか? 目視確認することができる。まずは大局的にザックリとバランス調整してからエンジン始動。次にエアーフローメーターや4連バキュームゲージを利用して、詳細バランスを調整するのが良い。大切なことは、取り付け復元前に、ある程度バランスしていることを目視確認しておくことなのだ。
分解メンテ後は絶対に必要なザックリ調整
オーバーホール目的で完全分解し、パーツ単品レベルで完全に洗浄し、組み立て復元したカワサキ空冷4気筒モデル用のキャブレターASSY。このキャブはカワサキZ650B2ザッパー用。初代モデルのB1は、スロー系の混合気調整機能が「パイロットスクリュー式」を採用。新車発売当時から調整しにくく不調例が多かっため、2代目のB2では「エアスクリュー式」に改善されている。スロットルバルブタイプなので、アイドリング(全閉時)のバルブ開き量を取り付け前に微調整するのが基本だ。円盤バルブのバタフライ式でも同調がすべての基本となる。
棒や太い針がねをカットして調整基準を作ろう
太さΦ1.5mmほどの鉄用溶接棒を50mm程にカットしたものを4本用意した。この細い棒の「太さ」を頼りに、4連スロットルバルブの静的同調を取る=バランスさせるのだ。同じ太さの棒は、頼りになります。カワサキ空冷4気筒、例えばZ1/Z2やZ650用のミクニ製4連キャブレターのスロットルバルブの先端には「四角く加工」された部分がある。この四角い分に棒を挟んでスロットル開度=全閉時の開度を調整するのだ。
4本の棒をスムーズに固定できますか?
4本の溶接棒をスロットルバルブ先端の四角部分に挟んでみよう。組み立て時のバランスが取れていないと、4本の棒すべてを挟んで固定することができない。つまり、一番閉じている部分の棒は、安定的に保持できたとしても、僅かに開き気味のキャブは、基準棒を挟めなくなってしまう。
指先の感覚で4つのバルブの開きを同調させる
スロットルバルブ開閉量の調整は、キャブレター本体のトップカバー内にあるアジャストスクリューで行なうことができる。静的同調のバランスが取れると、同じ太さの溶接棒4本を「すべて同時にホールド」することができるようになる。静的同調を合わせたら、トップカバーを閉じよう。このキャブレターのオーバーホール時には、キースター製の燃調キットを利用。同梱されている各種ガスケットは本当に便利だ。締め付けボルトなどの小さな鉄部品はすべて「ユニクロ再メッキ処理」を施した。各部の部品が美しくなることで、新品部品のような輝きになる。これこそがフルレストアと呼べるものだ。
フルレストアで見た目も蘇った!!
長年に渡って放置部品として扱われ、見た目も相当に汚かったカワサキZ650B2用ミクニ製キャブレターをフルオーバーホール。キャブレター洗浄ケミカル(ヤマルーブスーパーキャブレタークリーナー【原液タイプ】】や超音波洗浄器を利用したことで、想像以上にキレイかつ美しくに仕上がった。走行距離が少ないキャブだったので、スロットルバルブ表面にありがちな磨耗もほぼ無かった。
- ポイント1・取り外してある4連キャブを復元する時には静的同調状態を必ず確認しよう
- ポイント2・スロットルバルブタイプならバルブの開き具合を同調。バタフライタイプなら円盤バルブの開き具合を確認しよう
- ポイント3・僅かな開き具合を合わせる際に利用できる道具が針金や溶接棒。同じ太さなのがカギ!!
4連キャブレターを取り付け復元する際には、キャブボディのベンチュリ内=スロットルバルブの開き具合を必ず目視確認しよう。バランスが崩れていれば、間違いなくエンジンの吹け上がりに影響が出てしまうからだ。ここでは、最初に行うべき静的同調メンテナンスをリポートしているが、この作業を確実に実施しておけば、エンジン始動直後から残すは「微調整レベル」のキャブ調整で済む。裏を返せば、エンジンコンディションが著しく悪くなければ、この目視調整レベルでもエンジン始動は容易になり、スロットル作動に対する追従性も、極端には悪くならないものだ。また、不測の事態が起きたとしても(例えば強制開閉式スロットルケーブルのセットアップなど)、静的調整を確実に行っていれば、無意味かつ的外れな調整作業を行わなくても済むことになる。
この作業時には、ガス溶接用で太さΦ1.5mmほどの溶接棒をワイヤーカッターでカットして4本用意したが、太めの針金や番線(建築足場などを縛る太く柔らかい針金)などを使っても良い。溶接棒や針金の太さを利用することで、スロットルバルブの開き歩合を同調させるのだ。しっかり同調していれば、カットした針金4本がすべてスロットルバルブに挟まれ、下へ向けてもスーッと落下してしまうことも無い。何も使わずに、文字通り「目視」で作業した後に、針金利用でバランス確認すれば、いかに「目視」がいい加減かどうか!? 理解することができる。是非、試してみてほしい。
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Source: Webike
4連キャブ取り付け前には必ず実践!!微調整作業前のザックリ調整が基本