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「すり抜け」は白か黒か?【行政書士ライダーが徹底解説】

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行政書士ライダー
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すり抜けができるおかげで渋滞を気にせず目的地に到着できるのはバイクの特権とばかりに普段からすり抜け運転をするライダーの方がいる一方、すり抜けはすべきでない、だからしないという否定派ライダーの方も。
このように、すり抜け問題はライダー界を2分するテーマかと思いますが、まず確認すべきはすり抜け運転は違法なのかどうかではないでしょうか。

この点については、白だ、黒だ、いやグレーだと情報が錯綜している状態です。

そこで今回は、バイク歴35年目を迎える私、行政書士ライダーが、すり抜け運転について白黒はっきり決着を付けたいと思います。

https://news.webike.net/bikenews/297628/
https://news.webike.net/bikenews/287841/

白or黒?情報錯綜の原因

結論を先に言うと、「すり抜け運転は白の場合と黒の場合がある」です。

はっきり決着を付けると言いながら、「どちらもあるとはどういうことだ!」という突っこみが聞こえてきそうですが事実なので仕方がありません。ですが、このことが情報錯綜の大きな原因ではないかと思います。

ではなぜどちらもあるのかというと、白か黒かを判断する基準である道交法にすり抜け運転を直接違反とする条文がない、もっというと道交法には『すり抜け』という単語すらどこにも出てこないのです。

そしてもう一つの錯綜原因、それは、「すり抜け運転には何種類かのタイプがある」です。そのため、このタイプのすり抜けは白だけど、こっちは黒ということがあり得るのです。

すり抜けと追い越し、追い抜き

道交法にすり抜けがないなら、すり抜けが黒となる理由は『追い越し』or『追い抜き』ということになりそうですが、実は道交法には『追い抜き』という単語も出てきません。出てくるのは追い越しのみです。

では、道交法の追い越し違反とはどんな違反なのか?

「車両は、他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両(以下この節において「前車」という。)の右側を通行しなければならない。」(道路交通法第28条第1項)※ただし例外規定アリ

このように道交法は、追い越しは一部例外を除き車両の右側からと言っています。つまり左側からの追い越しは禁止ということです。

さて、すり抜けの代表例は信号待ちで停車中の4輪の車列の左側をスルスルと進む行為ではないでしょうか。では、このすり抜けは追い越し違反に当たるのか?

 

止まっている車両は含まない?

答えはnoです。

何故かというと、そもそも『追い越し』とは前方走行中車両の前へと進むことを指すのであり、止まっている車両の前へ進む行為は含まず、取締り対象にもなっていません(警察確認済)。

では、信号待ちであっても徐行中など動いている車両の左側をすり抜けるのはどうか?実はこれがとてもややこしくて、記事を書いている私自身も気を付けないと間違えそうになります。

というのも追い越しとは、原則、前方車両の右側を通って前に出ることなので特に4輪対4輪の場合、必然的に進路変更を伴います。

ところが一方もしくは両方が2輪の場合、進路変更をせずに前方車両の前へと出ることが出来てしまう場合があり得ますよね。

この進路変更を伴わない前方進出については、道交法は原則ノーマークとし、一部の場合に限り進路変更を伴わない前方進出もダメだと言っています。

(道交法30条)
車両は、…(省略)…次に掲げる…(省略)…道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
一 道路のまがりかど附近、上り坂の頂上附近又は勾こう配の急な下り坂
二 トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る。)
三 交差点…(省略)…、踏切、横断歩道又は自転車横断帯及びこれらの手前の側端から前に三十メートル以内の部分

このように、たとえ進路変更を伴わなくても、交差点や踏切、横断歩道などの中とその手前30m以内のエリアでは前方車両の横(左右とも)を通過してはならないのです。(いわゆる追い抜き禁止)

ですので、信号待ちで徐行している車列の横をすり抜け中に交差点などの30m以内エリアに進入すればその瞬間に違反になってしまいますのでご注意を。

違反でなければOKなのか?

長くなるので割愛しますが、すり抜け運転それ自体ではなく結果的に違反に該当してしまう場合が実は他にも複数あります。

ただ、違反にならないとしても余程安全が確保できる場合を除きすり抜け運転はおススメしないというのが私の意見です。理由は大きく2つ。

一つは、以前にも書いたあおり運転対策です。

https://news.webike.net/bikenews/292792/

接触しそうなほど自車の傍をすり抜けるバイクはもちろんですがそうでなくても「すり抜けるバイクに気付いていない状態で自分の横をすり抜けられてビックリ!」という経験をされた方も多いのではないでしょうか?

ビックリだけで済めばまだよいのかもしれませんが、ビックリが怒りに変わりあおり運転スイッチを押させてしまうことも十分考えられます。

そしてもう一つ、すり抜け運転は様々なリスクを含んだ運転である、という事実です。

例えば、2輪であれ4輪であれ、右左折などで進路変更をするときは後方を走る車両の速度又は方向を急に変更させないようにしなければいけません(道交法第26条の2第2項)。

とはいえ、NO合図、NOルック、超危険なタイミングで進路変更をするドライバーを私も嫌というほど見ています。自分は安全だと思っていても避けけれないタイミングで急に進路変更をされ衝突ということも十分にあり得ます。

また、急な歩行者の飛び出しやドアミラーへの接触などすり抜け運転のリスクを挙げればキリがないほどです。さらにリスクだけではなくマナーにも注意が必要です。ライダーにはそうでなくてもすり抜けはストレスフルでマナーの悪い運転だと感じているドライバーも多いと聞きます。

すり抜け運転には渋滞のストレスから解放されていち早く目的地に到着できるメリットもありますが、デメリットも多いということをくれぐれもご理解いただきたいと思います。

ということでみなさま、ルール、マナーを守って楽しく安全にバイクライフを楽しもうではありませんか。

https://news.webike.net/bikenews/292792/

Source: Webike
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